場外乱闘、もあり。

50代中小企業崖っぷちのオヤジです。2015年体調を崩し長期入院。カラダもギリギリ。土俵際、俵に足の親指1本からの逆転を目指します!!

追っている時が夢なのか

 

『へええ~、やっぱ目利きすごいね!!ピッタシ、大正解!!改造費150万だって、車体が200万で、改造費150万!!』

お得先の取締役N氏が目を丸くして、私と自身がかざしたスマホを交互に目をやります。これまでN氏とは仕事関係に会話しかしませんでした。はっきり言ってそう打ち解けていない間柄です。ところが、先日商談が終わりお互い一息突いた時のことでした。

 

『ところで、コロッと話変わるけど……』今まで交わしていた口調とはまるで異なったトーンのN氏が出た腹を揺するように身を乗り出してきました。『けっこう、バイク詳しいのだってね….』

二人めの子供ができたのを機にバイクを降りたのですが、それまではけっこうなオタクだったのを誰からか聞いたのでしょう。
“ええ、まあ、もう降りてから長いですが….計算したことあるのですが、バカみたいにバイクには800万ほど使ってます”
『…みたいだね、ハーレーも乗っていたとか、じゃーこれどれくらい改造費かかっているか、わかる?』

そう言いながらスマホの写真を子供ような動作で私の前にかざしました。“ええ?”予期せぬ展開に少々面食らいながらも、指紋だらけの画面を凝視しました。

 

そこには、精悍なブラックのよく手入れされたFat Boyが、誇らしげに佇んでいます。広い駐車場の一角でしょうか。一目でいたるところに手が入れられているのがわかりました。アルミの削り出しと思われるパーツがセンス良く、かつ贅沢に使われています。ワイルドさを失わず、金ピカにはならず、それでもって品よく…血道をあげていた頃の相場をサッと弾き出し、手を加えられたパーツの箇所を合計、そこからバイク業界のインフレ率を考慮し回答しました。それに対するN氏の返答が冒頭の会話です。

“へえ~Nさん、こういう趣味あったのですね…しかし、これまた、つぎ込みましたね、”
『…………………』
“シートとこのバッグ、これオーダーですよねーよほど、惚れ込まれたのですねー”
『いや、実は、これ、もらった……..もらった、タダで、担当している設備屋の社長に……オレもまあ、大型免許もっているし、もともとバイクは好きだけど、……』


聞けばその社長(65歳)、自宅ガレージをいわゆる所ジョージの「世田谷ベース」のようにするのが夢だったとか。遅咲きの独立者なので同業者に虐められたりしながらも、自分が行った仕事は後々までもフォローすることで信頼を獲得、新規開拓のため慣れない営業系のセミナーに通ったりしてもしたそうです、そういう努力の結果、徐々に仕事も増え、20年で目標達成!!ちょっとしたバーカウンターも併設され、仲間を呼んでちょっとしたパーティーも可能なガレージは備品も含め2000万円とか。そこに憧れたハーレーを3台を並べて至福の時間を過ごす.......実現しました。


ところが…….夢って掴んだ瞬間、色褪せるのでしょうか……少なくともこの社長にとっては、そうだったようです。

ある日、営業で訪れたN氏に『オマエ、この3台の中でどれが好きだ….』

あとは……………………伏線のないドラマのように唐突ですが、まあそいう結果となったわけです。

お得意先のことです。モノがモノです、ママチャリを貰うようわけにはいきませ。かかっている価値も何百万の世界です。N氏も自社の社長に相談されたそうですが、危険ななウラは思い浮かばないし、単に好意として受けておけば、とのことだったようです。こうしてハーレーの専門誌によく掲載されているカスタムハーレそのモノのオーナーとなったN氏ですが、困ったことも……….


1 裏はないにしても、どうも弱いところを握られているような気がする
2 N氏、実はそうハーレーは趣味ではない
3 週に1度はエンジンをかけ走らねばならない。
4 カスタムカーって意外に疲れるので、長距離には向かない、国産の大型車が欲しい
5 2年に一度の車検代が12万5千円…
6 事情が事情なので、これ、売れない……..^^;


やはり人は、自分の稼いだお金で、渇望したものを手にいれるのが健全ではないでしょうか。しかしそれも手に入れた途端に色褪せるとしたら、もはやモノで幸せ感を満たすことはできない、と言った方がいいのかもしれません。

この件、N氏と一気にキョリが縮まったので、私にとっては大いにプラスとなりました。^^v

 

※参考↓大体のイメージです

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