さらば亀山ブランド
熱を帯びた競技の模様を伝えるアナウンサーの右頬がボクサーのパンチを食らったようにどす黒ずんでいる。照明映えする正義感溢れるメイクとの対比が強烈だ。しかし腫れ上がっている様子はない。カメラが引かれ隣の解説者が映し出される。今度は元オリンピック選手の右肩あたりがイカに墨を吹かれたように黒い。アレ、洋服に何かこぼしているのか。語りかける左隣のアナウンサーに視線を戻すと、は?右頬には何事もなかったかのように小さなえくぼが踊っている。ん?そうか画面汚れている?濡れテイッシュで軽くこすりメガネレンズ拭き用の布で拭き上げる。何度か試みても水気が尾を引くだけで黒ずみは居座ったままだ。画面が切り替わっても漆黒はそこが自分の陣地のごとくビクともしない。
画面がやられているのだ!!!!!
このTVいつ頃買ったのだったか?名古屋から移ってきた後液晶は確か一度買い替えていたか?薄い画面の横、日焼けでカラカラに乾燥し剥がれ落ちそうなシールには『~亀山製』なんとか判読。あの頃は亀山ブランドとかという謳い文句でこの世の春だったこのメーカーもすでに敗北。仕事で足を運んだ四日市の顧客は亀山工場建設のおかげで社屋を増設できたとか。社員は業者で新宿駅並みの混雑だった(そうでもないか。。)亀山駅周りの飲食店は今やシャッター通りと化しているとか。
奢れる者は久しからず。
特におごりがあったわけではないだろうが、終わりの始まりの警鐘をならす人はいなかったのだろうか。
暖かくなったらTV買い替えだな。妻と娘の前で宣言してしまった。『とうぜん4Kね!』反応良すぎ、勝ち誇ったような24歳保育士。おかしい?私より断然リビングにいる時間の長い彼女たちから何も言い出さなかった。画面の異変に気づかなかったハズはない。私から言い出すのを待っていたに違いない。
家電に疎いので少しずつ情報収集するか。どれくらい必要なのだろう?下の娘の学費もあと1年。しかしカネはあるのか?