生き残っていけるお店
いわいる万年筆マニアでは、ありません。ただコイツだけは再生を願っていました。
私が高校入学時に大好きな叔父から送られた万年筆です。ですから35年以上前の製品です。当時で3万円ほど、と後になって聞きました。学生時代はポツポツ使う程度でした。
社会人となり文字はもっぱらパソコン主体になってしまってましたが、どういうわけかコイツの書き心地にほっこりさせられるものがあり、常に勤務先の机の引出しの片隅に転がっておりました。
使ったり、放置しておいたりすること数十年、度重なるインクの凝固に洗浄という応急処置にて切り抜けてきましたが、今春ついに楔を打ち込まれたごとく流れが止ってしまいました。福岡の専門店『とうじ』さんに入院...そしてメーカーからのパーツがないという連絡。
普通ならそこで終わってしまいますが、このお店は違いました。つけペンとして、次の生き方をコイツに示唆してくれました。つけペン、ボトルのインクにつけて使う方法です。
こういう使い方初めてなので、とまどいましたが、一度サッとインクボトルに浸すと時候の挨拶から、本件、結びと大きめの字でハガキ1枚くらいは書くことが出来ます。
お店の方によると、最近の製品にはこういう適度なしなりのあるペン先は少ないし、それを求めるならもっと高額になります、とのこと。
すぐに新しいモノを薦めず、じっくり使うこととそのノウハウを惜しげもなくオープンにする、これから求められるのはこういうお店だと感じました。
今後インクや次回の筆記具、間違いなくこのお店で購入します。
まだまだ活躍できることをサラッと教えてくれてくれて本当に感謝です。